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大乗山 両徳寺

一人がため


もしかしたら、この1週間は住職として、いや自分の人生の転機になるかもしれない。先日受けた研修会、某新興宗教のお話を聞いた。若者が多く集まるのに特別なことはしていないという。ど真ん中を堂々と語っているだけ。ただ、そこにあるのはお堂も門徒もない状態からのスタートという熱意1つ。私たちは最初からお堂があり、門徒がいる。それはいい。でも、その一人ひとりに本当に真剣に向き合ってきたのだろうか?

研修から帰ると一枚のはがき。それは先日たまたま立ち寄ったインテリアショップのDM。毎日たくさんのショップからのDMは来るけれど、これだけは目を引いた。それは唯一手書きの言葉が書き寄せられていたから。「わたし」のことを思って書いてくれている言葉がそこにはあった。私たちも法要に際してみんなに法要案内を届けている。でも、それはみんなに向けてのご案内。「あなた」を目当てとしているようには映らないのかもしれない。

そんな中、今回の法要に際して私にはどうしても聞きに来てもらいたいと思った人がいた。今回の御講師は初めて来られる方。どんな法話になるかわからない。でも、自分の嗅覚が言っている。絶対にこの子には合うはずだと。だから直接会って誘った。そんな中で迎えた今回の法要。台風や選挙やいろんなことが重なり、お参りが多いか少ないか、どうなるかはわからなかったけれど、そんなことはどうでもいい。とにかく私が来てほしいと願った一人が来てくれたらそれでいい。そんな思いすら抱きながら迎えた法要。そしてその一人が来てくれた。法要後に「すごく楽しい話がきけた。ご講師さんに、また会おうねって言っといて」とも言ってくれた。本当にうれしい法要だった。

あぁ、僕がしていかなくちゃいけないことは、これなんだ。本当に「あなた」に来てほしい。それを一人ひとりに本当に向き合って伝え続けること。そのあなたの集合体が「みんな」であって、みんなという人がいるわけじゃない。

今までたくさんの後悔があるけれど、時間は戻らない。でも、過去は変わらないというけれど、過去の味わいは変わる。その未来に出会わせてくれたと思ったら、あの辛かったこと、苦しかったことも人生には必要な時間だったと思いなおせる。過去は変わる。そのために、今、できることを。

 

最善を尽くして御正忌を迎えたい。

 

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