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スクール・ナーランダ③物語が宿る


 

昨晩は、京仲組広報部の会議でした。まもなく3月1日春号が発行となります。昨年11月に行きました京仲組団体参拝の記事や、初めての寄稿になる廣宣寺副住職さんのやさしい一口法話。また、お仏壇のお飾りの一つ、「華瓶(けびょう)」についてのお話しなどが掲載される予定です。どうぞ、お楽しみに。

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(初日、もう一人のゲストのコンテンポラリーダンサー・島地保武さん)

さて、スクール・ナーランダの続きです。皆川さんの講演から受け取った大切なもう一つのこと。

皆川さんはパリでのコレクション開催の際に、自分の服を見たイタリアのバイヤーから「こんな服は流行でないからヨーロッパでは売れない。今女性には黒い服が流行だから、そういうのを作ればいい」と言われたそうです。その中でしばらく考えて出した結論が「このままでいい」。みんなが黒い服を作っているなら、そこに黒い服を持っていっても埋もれて捨てられるだけ。逆に自分が作っているような服が作られていないならば、1000人に1人、「この服がいい」と受け取ってくれる人がいるかもしれない。その1人に向かって自分は服を作るんだ!と思ったそうです。結果、今ではイタリアが一番取引が多いのだとか(笑)最初から万人受けではなく、あなたただその1人を想う、という精神の中から、人に喜びを与える服が作られていくんですね。

そしてもう一つ。そのままではないですが、こういう趣旨の話しをされていました。

今は大量消費の時代で、シーズンが終わりにかかるとバーゲンセールで、作ったものが一瞬で価値なきものに転じてしまう。それが作り手にとっては悲しいこと。というのは、自分はデザイナーだけども、その服を作る際には糸屋さんや縫製工場、色んな方の手を借りながら服は作られていく。そのみんなの苦労・努力を知っているから、価値あるものを価値あるままに人に届けていきたいと思う。その製品を受け取った方が喜んで服を着ていれば、それは作り手側みんなの喜びになる。一枚の服にはそんなみんなの想いが宿っているのであって、服やものには作った人間たちの記憶が宿っていると思ってる。だからこそ、そういう一つひとつを大事に使ってもらいたいと思う。

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(参加者全員でのディスカッションの姿。熱のこもった時間でした)

私はこの話を聞きながら、想像力というのが大事だと感じました。受け取る方の笑顔、受け渡してくれた人の笑顔。それを想像できるから、その間に立つ人間として良い仕事が出来るのだろうと。

そして逆に思うのは、今世間を騒がせている某会社の不正です。誰が悪いのかは分かりません。が、不正をはたらいた人は想像したのでしょうか。

住人の泣く姿を。オーナーの泣く姿を。施工者の泣く姿を。資材を供出した方の泣く姿を。

そこに想いが向いたならば、どんな圧力があったとしてもダメなことはダメだという判断ができたのではないでしょうか。

今は想像力が貧困な時代になったと感じます。見えるものだけが全てという即物的なものの考え方をします。しかし、皆川さんが伝えてくれたことは、極めて豊かな感性の中から見える世界だったと思います。

 

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